パート3「エクセルくらい使っていますよね、なんでもできます」
パート2では、「DX白書」を駆け足で見ながら、日本ではDXが遅れていること、経営者が主導して進めなければいけないのに、どうもそうなっていないこと、高齢化が進んでいて経営者はデジタルのことがわからず取り組んでいないか、IT担当に丸投げしている疑いがあると話してきました。
社長がDXに取り組む気がなければどうにもなりませんけれど、やるぞ! となったときにどうしたらよいかをパート3で見ていきます。
デジタイゼーションはけっこうやっている
「DX白書」によると、日本企業は遅れていると言っても情報のデジタル化(デジタイゼーション)は取り組んでいます。取り組んでいないのは4.8%だそうで(図表12-2)。
デジタルのデータから意味のあるデータを取り出したり、分析、加工、有益な情報に解釈といったこと(デジタライゼーション)はできていません(図表24-16)。どちらとも言えないなんて答えている会社はできていないでしょうね。ということは取り組んでいるのは13%だけってことです。
デジタイゼーションはたぶん
上の表は経済産業省が公表した「DXレポート2.1」からの引用です。パート1でお話した製品のデジタル化、サービスのデジタル化、プロセスのデジタル化の項目が左にあります。デジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションという項目が上に並んでいます。
ビジネスモデルのデジタル化は、製品・サービスとプロセス以外の部分まで含めてデジタル化するということでしょう。プラットフォームは今回関係ありません。小さい会社のちっちゃいDXではなくなってしまいます。
デジタイゼーションしているという会社、なにをしているのでしょう。会社によってさまざまとは思いますが、あまり進んでいないという場合でも業務プロセスでエクセルくらい使っていますよね、きっと。あとはメールやラインでコミュニケーションとか。小さい会社ならそんなものでしょう。
上の表の「DXフレームワーク」でいうと、横が「業務のデジタル化」縦が「デジタイゼーション」、「業務/製造プロセスの電子化」というところです。
次のステップ、デジタライゼーション
エクセルを使っているなら、エクセルを使って次のステップであるデジタライゼーションしたらよいのでは? まず第一歩としてDBとの連携というのはどうでしょう。
現状、いくつものエクセルファイルに同じデータを何度も入力するようなことになっていたりします。メンドクサイし、時間がかかります。
データは一度入力するだけ、いくつものエクセルファイルでやっていたことを、データベースからのデータ抽出で済ませる、計算は自動化する、これだけで効率がアップすること間違いなしです。
どういうことか、図にしてみました。見るからに簡単ですね。
これを実現するのにエクセルのマクロを使います。マクロというのはVBAというプログラミング言語で書いたプログラムです。マクロを使えば、エクセルでなんでもできます。データベースとの連携が代表的で効果的ですけれど。
プログラミングなんてできないよ、とお思いですか? たしかに! プログラミングはできる人もいれば、できない人もいます。できる人の方が少ないかな。
エクセルマクロを作るくらいなら、IT企業に外注するほどではありません。ココナラというマッチングサービスサイトがあります。試みにココナラで「エクセル マクロ」と検索したら、2,557件ヒットしました。
ココナラのようなサービスを利用して、小さい仕事でも引き受けてくれる人を探すのもよいかもしれません。
効率化といっしょに
エクセルとDBを連携させるなら、いっしょにやったほうがよいことがあります。経営に役立つ指標を計算してグラフにします。
つぎのパート4では事例を紹介しますが、そこでは顧客ごとの売上と粗利益率を散布図にして顧客分析しますよ。日々の取引をデータベースに登録しておくだけで、顧客分析ができてしまいます。簡単・楽チンです。DX!