パート4「小さい会社でちっちゃいDXやってみました」
パート3では、デジタル化の遅れている日本企業も情報のデジタル化には取り組んでいて、でもその先へ進めず足踏み状態だということを確認しました。
一歩先に進めるために、たいていの会社で使っているであろうエクセルの活用を提案しました。マクロを使ってデータベースと連携することで、業務効率化だけでなく経営に有用な指標を得られるのでした。
マクロを作るにはプログラミングの技術が必要だけれど、解決策としてココナラのサービスを使って小さい仕事を引き受けてくれる人を探すこともできます。
パート4では現在進行中の支援の様子を紹介しながら具体例を示します。
事例はこんな会社です
経営改善の支援で関わることになった会社です。決算書をチェックすると、売上が増えたのに原価がもっと大きい割合で増えていました。燃料価格の高騰なのに値下げ圧力が大きかったようです。安く働きすぎました。
顧客分析からはじめましたよ。ある月の顧客ごとの売上と利益です。
A社は優良顧客で売上総利益全体の60%を占めています。大得意先です。次に注目なのが、B社。売上2位なのに利益となると5位に転落してしまいます。取引を考え直した方がよいのでは。調べたら、赤字の取り引きもありました。
もっとわかりやすくしましょう。横軸に売上、縦軸に利益率をとって散布図を作りました。
とても分かりやすくなりました。やっぱりA社は優良顧客、B社は疫病神。あともう1点、E社との取引を増やしたらよさそうということもわかります。
さらには、A社とE社の荷物は野菜です。B社は飲料。この会社、野菜を運べば利益率を向上でき、赤字解消もできそうです。そのかわり、飲料などほかの荷物は運ばないようにします。経営戦略ですな。経営に有益な情報が得られました。
じつは大変でした
上のグラフや散布図を作るの、大変でした。なんとなれば、データがいくつものファイルに分散していて、行ったり来たりしながらデータをつなぎあわせないといけなかったからです。私がやりました。
ファイルを作成している事務の人に聞いたらメンドクサくて大変とのこと。これですね、デジタライゼーション。もう一度データベースとエクセルの連携の絵を見ましょう。単純なやつね。
これをやれば、取引のデータをデータベースに登録しておいて、請求書でも、月ごとの取引記録でも、各ドライバーの業務記録でも、なんでも作れます。
ちっちゃいDX、やってみました
ということでエクセルとアクセスを連携して作ってみました。エクセルファイルはひとつ、書類ごとにシートを分けて、シートにつけたボタンを押せばデータベースへのデータ登録も、請求書作成も、なんやかやもイッパツで自動生成してくれます。
データをデータベースから取ってきたり、付き合わせしたり、加工したりというのは、マクロで隠れてやります。たとえば、登録はこんな画面です(データはダミー、勝手に作りました。一部未完成)。
いつもどおりにエクセルにデータ入力したら、ボタンをポチっとやってデータベースに登録します。
取引データからある取引先の5月分の請求書のデータを引っ張ってきてエクセルに入力しています。月と会社を指定して「データ読込み」のボタンを押せば完成です。合計金額等はシートの下の方で、セルに式を書いて済ませています。そこはマクロの必要がありませんからね。(こちらもデータはダミー)
もちろん、ある月で作った売上 - 利益率散布図だってデータを瞬時に更新してどの月のデータにだって切り替えられます。まだできていませんけれど。
VBAというプログラミング言語でポチポチとプログラムを入力しました。SQL文を作って実行させて、データをエクセルのシートに入力するところです。着日で並べ替えたほうがよさそうと気づきました。SQL文にちょっと書き足しておきます。
この仕組みができれば、事務の人は効率よく仕事ができて余裕ができます。この会社、野菜を運ぶ仕事を増やすため、新規顧客獲得の営業を開始します。問い合わせ対応の仕事を事務の人に割り当てられるでしょう。デジタルトランスフォーメーションになっています。
セミナーは以上です。お疲れさまでした!