経営コンサル・中小企業診断士のホワイトペーパー

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中小企業診断士って?

 前回の記事では、経営コンサルの中には国家資格である中小企業診断士をもった人がいますよと紹介しました。

 今回は中小企業診断士がなんぼのものか、もう少し詳しくご紹介します。

 

法律をひもとくと

 弁護士のよってたつ根拠を知ろうと思ったら弁護士法を調べたらわかります。中小企業診断士について法的根拠を知りたかったら中小企業診断士法を調べたらわかりますと、言いたいところですけれど。

 実は中小企業診断士法というのはありません。冷遇されていますね。単独の法律なんてもったいないと立法府に思われているのでしょうか。立法の事情については詳しくありません。

 かわりと言ってはなんですけれど、中小企業支援法と言うのがありまして。「中小企業の経営診断の業務に従事する者の登録」という項目を設け、第11条が該当します。

 「中小企業の経営診断の業務に従事する者」と言う部分が中小企業診断士のことです。中小企業診断士という名称が出てこないのが寂しいところです。

 (中小企業の経営診断の業務に従事する者の登録)
第十一条 経済産業大臣は、中小企業者がその経営資源に関し適切な経営の診断及び経営に関する助言(以下単に「経営診断」という。)を受ける機会を確保するため、登録簿を備え、中小企業の経営診断の業務に従事する者であつて次の各号のいずれかに該当するものに関する事項を登録する。
一 次条第一項の試験に合格し、かつ、経済産業省令で定める実務の経験その他の条件に適合する者
二 前号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認められる者で、経済産業省令で定めるもの
2 前項の規定により登録すべき事項及びその登録の手続は、経済産業省令で定める。

 詳しくはウェブでみたいに、経済産業省令で詳しく定めることにしています。

 

 では、経済産業省令を見てみましょう。中小企業支援事業の実施に関する基準を定める省令というものです。わかりにくい。法律の方に省令の名前を出してくれるとよいのですけれどね。文句言ってもはじまりません。

 「診断又は助言の方法」という項目がありまして、第4条です。「中小企業診断士(法第十一条第一項の規定による登録を受けた者をいう。以下同じ。)」ということで、上に引用した条文で登録を受けた人のことを中小企業診断士と呼びますよとなっています。法律の方に書けばいいじゃんと思いますけれど、そうなっています。

(診断又は助言の方法)
第四条 経営の診断(以下単に「診断」という。)又は経営に関する助言(以下単に「助言」という。)は、中小企業診断士(法第十一条第一項の規定による登録を受けた者をいう。以下同じ。)その他の中小企業の経営方法に関する専門的な知識及び経験を有すると認められる者がこれを担当するものとし、かつ、近年における新たな経営方法の開発の成果を活用すること等により、診断又は助言を依頼した者の必要に即して適切に行うようにするものとする。

(第2項以下略)

 

経営診断の業務に従事する者

 中小企業診断士、法律的には経営診断の業務に従事する者なのでした。中小企業が経営診断を受けられるように、中小企業診断士という制度ができたのですね。法律は中小企業支援法でした。

 法律の第3条で国が行う中小企業支援の計画を定めると言っています。

(中小企業支援計画)
第三条 経済産業大臣は、毎年、中小企業の経営資源の確保を支援する次に掲げる事業であつて、国、都道府県(政令で指定する市を含む。以下同じ。)及び独立行政法人中小企業基盤整備機構が行うもの(以下「中小企業支援事業」という。)の実施に関する計画を定めるものとする。
一 中小企業者の依頼に応じて、その経営方法に関し、経営の診断又は経営に関する助言を行う事業

(第2号以下略)

 中小企業診断士が行う経営診断の業務というのは、国が計画した事業を実際に行うということですね。国の事業を実施するお手伝いが中小企業診断士のコア業務ということになりますかね。

 実際、中小企業診断士の中には国の施策を実行するお手伝いが中小企業診断士の存在理由だと強調する人がいます。そんな性格が濃いとは思います。

 

公的業務が使命

 国が実施する中小企業支援策をお手伝いすることが中小企業の本来の目的だということでした。

 中小企業診断士の中では、公的業務と言われる分野です。公的業務ではないのはどんなのかというと、企業から依頼を受けて診断業務をするとか、セミナーを開いて聴講者の中から依頼を待つとか、そんな風にして公的機関を通さないで仕事を受ける場合です。

 公的業務の方が報酬がすくないというのが一般的です。

 

 前回の記事で経営コンサルに依頼するなら中小企業診断士を選ぶといいですよ、中小企業診断士に依頼するなら商工会議所や協会に紹介してもらうといいですよと書きました。ほかにも中小企業の支援機関はあります。

 そんな支援機関の相談窓口には中小企業診断士がいたりします。公的業務です。

 

中小企業診断士試験は難関?

 中小企業診断士になるには試験に合格して登録されないといけません。

 試験は1次と2次があります。1次は7科目でマーク式、2日かけて実施。2次は2段階。まず記述式で4科目、1日で実施です。合格すると面接試験があります。2次試験の問題をもとに口頭で質問され口頭で答えます。

 2次試験に合格すると実務補習が待っています。修了すると経済産業大臣に登録してもらえます。中小企業支援法第11条でしたね。登録完了をもって中小企業診断士になれます。

 

 実は、いま紹介したルートのほかにも中小企業診断士になる方法はあります。

 1次試験合格のあと、2次試験合格を目指さずに養成課程というのにはいって修了する方法。これはお金がかかります。それに成績が悪いと修了できません。

 2次試験に合格したあと実務補習ではなく実務従事でもよいことになっています。ちがいはよく知りません。実務補習を受けたもので、実務従事でどんなことするのか、実務補習とちがいがあるのか知らないのです。

 

 令和2年度の1次試験の統計資料がリンク切れになっていて見られませんから、令和元年度で見ますと、1次試験の実質の合格率は 30.2%だそうで、同じ年の2次試験は 18.3%とあります。全体で 5.53%くらいの合格率と思えばよいのですかね。

 社労士の合格率を調べたら 6~7%と出てきましたから、同じくらいでしょうか。

 

 なかなかの難関の試験ですけれど、資格なしの経営コンサルと一緒になって競争してクライアントを獲得しないといけないとなると、お得感はあまりないかもしれませんね。

 

 試験対策については多くの方が書いていますから、このブログでは書きません。経営コンサルや中小企業診断士に依頼しようかなって思ったときに役に立ちそうな記事を書いてゆきます。