2021年4月23日に中小企業庁が中小企業白書を公表しました。下のリンク先サイトからダウンロードできます。
このブログ、ホワイトペーパーと題していますけれど、今回は中小企業庁のホワイトペーパーを記事にしてしまいます。白書を見ながら記事を読んでください。
2021年版中小企業白書を読む
2021年版中小企業白書では、2020年のデータが載ってきます。新型コロナ感染症の影響がデータで見られます。注目ですね。
中小企業白書はおおきく3個にわかれていまして、
- 第1部 令和2年度(2020年度)の中小企業の動向
- 第2部 危機を乗り越える力
- 令和2年度において講じた中小企業施策
と、こんな構成になっています。このブログでは第1部と第2部をご紹介します。
3番目の施策報告みたいのはスルーします。
第1部 令和2年度(2020年度)の中小企業の動向
さっそく第1部からご紹介したいところですけれど、この第1部も3個の章にわかれています。さらに章は節に。メンドクサイことです。
3個の章タイトルはつぎのとおり。
- 第1章 中小企業・小規模事業者の動向
- 第2章 中小企業・小規模事業者の実態
- 第3章 中小企業・小規模事業者の方向性
章といっても、ひとつの記事で扱うにはボリュームがありますから、記事は章の中の節の単位で取り上げてゆきます。つぎの記事で第1章第2節を取り扱います。それでタイトルに第1部第1章(1)とついているのです。
第1章 中小企業・小規模事業者の動向
第1節 我が国経済の現状
前置きが長くなりました。やっと、第1章第1節から。
はじめに白書ではGDPを取り上げています。<第1-1-1図>のグラフによると2020年のGDPは前年比 - 4.8%でした。
でもこれ、前年比だけ見せられても感覚的にわかりません。親切ではありません。GDPの元データがあるんだからそっちも出してもらった方がわかりやすい。生のデータを見たうえで、では前年比で見てみましょう、ならよかったのですけれど。
よく1次データが大事だというのに、ないがしろにしていることが多いものです。仕方ないから、自分でデータをもらってきてグラフにしました。こちらは変化率ではなく実際の金額です。見た目しょぼいけれど我慢してください。Y軸の単位をつけ忘れましたけれど、10億円だそうです。
額が大きいから変化はあまり大きく感じませんね、Y軸を0からはじめずに400000とかにすれば上がり下がりを拡大して見られるのですけれどね。せっかくだから、実際はこうですというところを見ておいた方がよいかと。
リーマンショック以降なんとなく成長していたGDPが2020年でガクンと落ち込みました。でも金額的にはリーマンショックのときよりGDP大きいのですね。
GDPの次の話題は消費です。見ていきましょう。<第1-1-2図>のグラフです。
消費総合指数ってよくわかりませんけれど、内閣府で発表しています。
消費は2020年5月に最小値をとっていて、2015年の消費を100として85くらいです。15%の減少。
消費指数はリーマンショックのあと、順調に伸びていた感じがあります。2011年の東日本大震災でぐっとさがりましたけれど、すぐにもとの路線にもどっている印象です。
2014年にピッと上がって一気にさがっています。これ、消費税です。駆け込み需要があって、そのあと増税でドカンと一気に消費が冷え込みました。
以降はリーマンショック後の増加傾向が消えて、小さな変動はあるものの横這いでした。
政府はなんの手も打たなかったのか、手を打ったけれど効果がなかった、無能だったということなのか。どちらにしても、ダメという評価になりますね。政府としてダメです。
白書では、Y軸の目盛が80からはじまっていて、縦に引き伸ばされたグラフになっています。小さな変化が大きく強調されて見やすいといえばそうですけれど、やっぱり全体を見たうえでのほうがよいのではないかと思います。
データをもらってきてグラフにしましたから貼りつけておきますね。
消費総合指数は2020年5月でしたね、最小値をとっています。リーマンショック、東日本大震災よりもさらに小さな値になりました。その後揺り戻しがありますけれど、東日本大震災ころの値にすぎません。コロナ恐るべし。
コロナのことは置くことにしても、消費って小売り、サービスの売り上げ合計とほぼ等価でしょう。政府のせいで割を食っているわけです。
2021年はコロナがさらに猛威を振るっています。次の白書ではどうなっていることか。緊急事態宣言の効果が薄くなっていて、それほど消費が落ち込んでいなかったりしますかね。
それにしても、消費税に手をつけないことには、どうにもならないのでは。逆に消費税をあげるなんて言っている政府。自民党政府が倒れるのが先か、中小企業が倒れるのが先か、みたいな戦いなのでは。
つぎに<第1-1-3図>。今度は2019年から2021年2月までの短期間のデータになっていて、消費総合指数の2007年からのグラフに対して時間を引き伸ばしたようなグラフになっています。
せっかくだから、消費総合指数と合体して2007年からのグラフを作成しました。
消費総合指数だけのグラフより縦も横も大きくしました。 ごちゃごちゃしたグラフになったもので。消費総合指数はいらなかったかな。
卸売を見ると、リーマンショックで指数が一気に下がってしまいました。次に消費税の増税でも押し下げられています。
小売りは卸売りとちがう動きをしていますね。リーマンショックの影響もわからないし、消費税の影響も。季節変動による動きが大きいようです。
小売りが卸売りに対して強くなっていて、消費の変動は卸売りにかぶせられたと見るのが妥当なのかもしれません。
コロナの影響は白書のグラフを見た方が拡大されていてわかりやすい。ここでも小売が強く卸売が弱いということが見て取れます。
プラスの動きは小売に大きく出ていて、マイナスの動きは卸売に強く出ています。卸売からしたら、こういうイレギュラーな変動は勘弁してほしいところでしょう。
2020年11月以降の動きはいま言ったことと逆に、卸売が回復して小売が小さくさがっています。なんらかの調整作用がはたらいた結果かもしれません。
消費が冷え込んでいる。小売より卸売に負の影響が大きい、ということがわかったのですけれど、サービス業はどうなっているでしょう。
ということで、白書ではサービス業を取り上げています。
<第1-1-4図>です。これは前年同期比のグラフです。サービス業も季節変動が大きいのですかね、前年比で見るのがよいということでしょう。今回はグラフを作り直しません。白書のグラフで見ていきましょう。
サービス業では、飲食・宿泊、生活関連サービス・娯楽への影響が大きい。情報関連と運輸・郵便は影響少なめ。
コロナの影響ですから、簡単に想像できる結果です。
飲食・宿泊には補助金が出たりとか政策的にサポートがあったりとかするわけですけれど、娯楽はどうなってしまうのでしょう。心配ですね。
白書ではつぎに鉱工業を見ています。コロナの影響で消費が減り生産を押さえているとも、従業員を出社させないという感染対策のせいで生産量が減ったとも言えます。
なにとも言えませんから、このくらいで。
つぎに輸出と輸入で、グローバルな話へ。アメリカ、EU、アジアというくくりでグラフにしています。特に述べることはありません。
海外現地法人の売り上げもパスします。
訪日外国人。うん、世界的に人の移動が制限されていますからね。
第1節はここまでです。丁寧に見すぎですかね。メリハリをつけて第2節以降も見ていきましょう。