前回の記事では2021年版中小企業白書の第1部第1章の第1節を読みました。
コロナの影響は瞬間的に大きく、しかも揺り戻し後もリーマンショックや東日本大震災で最大限落ち込んだときよりまだ悪い状況なのでした。
大企業を含む大きな視野での話から、第2節では中小企業を対象とした調査からの考察がはじまります。
第2節 中小企業・小規模企業者の現状
はじめに、中小企業に聞きました、コロナの影響ありますかと<第1-1-11図>。2021年3月の調査だそうで、もう収束したと答えている企業があったりします。まだまだこれからなんではないかと思いますけれど。
ともかく、予想どおりの結果でしょう。次。
今度は規模別で推移を見ています。<第1-1-12図>です。
白書の本文では、2014年以降ゆるやかな回復基調といっていますけれど、リーマンショックからの回復のときのような傾きになはならず、ゆるやかといってもゆるすぎです。2019年のうちにさがりはじめていますしね。
消費税は中小企業にとって悪です。
つぎに地域別に見ていますけれど、パスでいいですね。地域による差は見られません。
業種別も言うことはありません。
売り上げを大企業と中小企業で比較しています<第1-1-16図>。
従業員数で言ったら大企業3割、中小企業が7割ですよね。それなのに大企業の売上の方が総じて高い。この傾向は東日本大震災のあとからつづいています。どういうことでしょうね。
中小企業は大企業の下請けってことが多いでしょう。大企業、下請けに払いが悪くなった? 分配の問題かもしれません。
経常利益で見ると<第1-1-17図>。中小企業と大企業、全然ちがいます。
売上とちがってリーマンショック前から中小企業に利益は少なかったのですね。リーマンショック後は売上まで差がつき、経常利益はもっと差がついたということです。
もう一度言いますけれど、大企業3割、中小企業7割の従業員数です。中小企業、食い物にされているのではと心配になります。
コロナが広がった2020年の業種別の売り上げを四半期ごとに見ています<第1-1-18図>。前年同期比です。
娯楽がひどいことになっています。公的なサポートが必要だと思われますね。
投資を大企業と中小企業で比較しています<第1-1-19図>。利益が少ないのだから投資だって少なくなるよねってことがわかります。
東日本大震災前から投資はずっと減っていて、そのあとは最低ラインを維持していた感があります。
大企業なんて経常利益が増加していたのですけれどね。投資しないで内部留保していたわけです。景気悪くなりますよね、そりゃ。
規模別、業種別に投資を実施した企業の割合をあげていますけれど、言うことはありません。
設備が余っているか足りないかの調査<第1-1-19図>は、企業規模より業種で判断がわかれるのだなとわかります。
投資計画<第1-1-20図>は、調査期間が短くてなにがなにやらわかりません。載せる意味あるのか。
ソフトウェア投資<第1-1-24図><第1-1-25図>。中小企業は設備投資もままならないのだからソフトウェアにも投資できませんよねってことですかね。
大企業、リーマンショックから回復基調になるまで一貫して投資額が減っています。競争力なくなりますよね、そりゃ。2018年くらいからあがっています。経常利益が2017年くらいから増加して、タイムラグがあってソフトウェア投資を増やしたとかかな。
投資計画は調査期間が短いのは設備投資と同じ。言うことはありません。
研究開発投資<第1-1-27図>。これは売上に対する割合です。
売上高が変化するから割合で示されてもな、ということで元データを探しに行ったのですけれど、元データは大企業と中小企業でわかれていません。どうやってこのグラフ作ったのでしょう。
ともかく、利益の少ない、設備投資もままならない中小企業は研究開発にまわすカネだってないってことですね。大企業にますます水をあけられてしまいます。
しばらく飛ばします。白書のページで33。貸出金の推移<第1-1-35図>です。
東日本大震災以降、ずうっと増えています。
売り上げも、経常利益も増えていないのに借金ばかりが増えています。借金漬けの中小企業が多いってことでしょう。
つぎの倒産件数を見ると2010年から減っていますけれど、2015年までかなりの勢いで減っていて、バブルの頃の倒産件数の少なさに迫っています。
借金でしのいでいるってことでしょうね。売上もロクにないのに借金でしのいで企業を存続させてもよいことはありません。もうダメっていう企業は倒産させるべきでしょう。
自民党が政権に返り咲いてベノミクスなんて言っていたころからの傾向です。ロクでもなかった、アベノミクス。いまも方針を引き継いでいるのでしょうけれど。
最後に商店街の話になります。イチイチ取り上げませんけれど、商店街はキビシイ。
わが町も商店街と言えるような商店街は絶滅状態です。もうありません。
かわりにイオンモールがありますけれど。イオンモールも私はめったに行きません。普段の食品スーパーのほかは、ほとんどアマゾンです。
モール型ショッピングセンターのよいところは、自転車が乗り入れてこないし、看板がでっぱっていないし、屋内でキレイだし、トイレだって利用しやすいし、ちょっといい店が揃っているし、ということ。
モール型のショッピングセンターに商店街が勝つのはとてもむづかしいと言わなければなりません。
第2節を見終わりました。次回の記事では第3節 雇用の動向を一緒に読みます。