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「ザ・ゴール」を読みました(事業承継マスターコースの課題図書)

 5月から東京協会中央支部の公認「事業承継マスターコース」を受講しています。後継者の方に勧める書籍ということでリストがありまして、分野ごとに1冊は受講生の課題図書になっています。

 さらには、講義で時間を取って感想を発表する課題があります。マスターコース受講の間に2回発表せよとのことで、私は「ザ・ゴール」の感想発表をすることになりましたよ。感想をまとめる下書きを兼ねて、ブログの記事にします。発表するのは11月ですけれどね。

「ザ・ゴール」とは

 小説仕立てになっています。主人公は工場長です。ダメダメ工場の工場長で、3ヶ月で立て直さないと工場を廃止すると、本部から通告を受けてしまいます。工場がなくなれば仕事もなくなります。どうしたらいいんだぁー、と思っているところに大学時代の物理の恩師と再会、謎みたいなアドバイスを受けます。

 こんな感じで、ピンチからの成功物語です。主に運営管理がテーマとなっています。ボトルネックがあって、在庫が山積みになっていて、納期が遅延しまくって、リードタイムが伸びている、典型的なダメダメ工場からの脱却です。

 小説ならではのよいところもあるのですけれど、小説にしたせいで話が長くなり本がぶ厚くなったとも思います。読んでいて、小説はもういいよと思うことしばし。最後には、ぶ厚い本を読み切ったという達成感が得られました。

読みどころ1.仕事と家庭はつながっている

 小説仕立てになっているもので、工場長たる主人公の家庭生活も描かれています。仕事がうまくいかず、家に帰れず、奥さんとの約束は守られず、実家へ帰らせてもらいます! と相成りました。

 夫婦の雰囲気が悪くなり、コミュニケーションが悪くなり、お互いにわかってくれないと言って不満をため込んだ結果です。余裕がありません。気持ちに余裕がないと他人との関係も悪くなりますよね。

 仕事がうまく行くようになると、奥さんのために割く時間も、奥さんのことを考える余裕もできてきます。現実も同じですよね。

 後継者の方にも、仕事をうまく回して家庭生活を充実させてもらいたいものです。

読みどころ2.チームで取り組む

 工場長の下には各部門の管理者がいます。経理の人がいたり、データサイエンティストらしき人がいたり、購買、現場作業、といます。工場を改善して行くときにもチームで議論しながら進んでいきます。

 ひとりでできることは限られています。チームが力を合わせれば、大きなことが成し遂げられます。チームを作り、課題を解決して成長してゆくことが大事です。

読みどころ3.アドバイザーの存在

 工場がなくなるという危機にあって、はじめに企業全体の目標、ゴールはなにかと問い主人公を導いたのが物理の先生、今は経営コンサルタント? です。

 現場にいると目の前に具体的な事象があふれているものだから、頭の中が具体でいっぱいになっていまいがちです。工場の人たちは効率性を第一に、従業員をできるだけ働かせ、機械をできるだけ動かし、多く作って1個当たりの単価を下げようとします。それで在庫、仕掛品が山になるのです。

 アドバイザーはチームの視点を高く持ち上げます。企業にとってのゴールはなにかと問うことで。1個当たりの単価を下げて在庫や仕掛品の山を作ることではなく、製品を販売して利益を出すことがゴールなのだと。主人公たちがすこしづつ考え方を修正することで工場は好転してゆくことになります。

読みどころ4.原理原則に還れ

 読みどころ3につながるところもあのですけれど、考え方がまちがっているとまちがったことをやってしまいます。会社ぐるみで費用や効率の考え方がまちがっていたせいで、どの工場も不振に陥っていました。

 主人公の工場だけが、考え方を修正することで業績を好転させることができました。うまくいかなくなったときは原理原則に還ります。この本の場合は、利益を出すことが企業の目標ということでした。

 なぜ原理原則に還るかというと、かわらないものだからです。具体にブレイクダウンしてゆくと、時と場合によって正しいことがかわってしまうことがあるからです。

 具体、現実のことは現場がわかっていますから、経営者は原理原則に照らしてやっていることが適切なのかチェックするのですね。それで企業理念だのビジョンだの言うのです。

続編がある

 「ザ・ゴール2」があります。私は見ていませんけれど。余裕ができたら読んでみるのもよいかもしれません。いつになったら余裕ができるのかわかりませんけれど。勉強することがいっぱいあって、読む本もいっぱいあるもので。