前回の記事はイレギュラーに、新人中小企業診断士の活動報告になりました。今回はもとにもどって中小企業白書を読み進めます。
第3節 雇用の動向
第3節は雇用についてです。
はじめに完全失業率と有効求人倍率のグラフ<第1-1-48図>です。
なんで率を見たがるかなー。しかもグラフの目盛が違うし。毎度のことですけれど。はい、グラフ描き直しましょう。こちら。
率ではなく数にしました。目盛は Y 軸のみの単位は万人です。わかりやすい。見た目は白書に載っている率のグラフとかわりません。描きなおした甲斐がない。
コロナで求人が減っている勢いがすごいものです。リーマン・ショックどころではありません。
リーマンはゆっくり進行しましたからね。日本では何年か前からサブプライムローン問題なんて言ってアメリカの経済が失速することは予測されていました。ある程度準備できていたからゆっくり影響が出たということでしょうか。
失業の方はリーマン・ショックより傾きが小さい気がします。もとが人手不足の状況だったからですかね。
どちらもリーマンショックのときより変動幅が小さいのは、今まで見てきた統計と同じです。
つぎの<第1-1-49図>です。「従業者と休業者の推移」とあって、またグラフが。もしかしてツッコミ待ちなのですかね。
白書は従業者が減ってその分休業者が増えてと言いたいのでしょうけれど、縮尺が合っていません。インチキくさい。まったく信用できません、こんなことされると。
だいたい、まえのグラフで失業者がググッと増えていたのになんですか、休業者の多くは失業に至らなかったって。そんなことでやれやれなんてひと息ついてほしくありません。休業させるくらいだから、そりゃすぐにクビにするつもりはないでしょうね。
ではグラフを作り直してみましょう。
ということで元データを取りにゆきます。総務省「労働力調査」とありますから労働力調査のデータですね、すぐにたどりつきますが。が! ありません、こんなグラフみたいな数字のデータ。どこからきたのでしょう白書のデータは。就業者だ、雇用者だ、農林業だ、非農林業だといろいろ数字があるのですけれど、白書の元データに当たるものは見つかりません。
休業者は出てきました。労働力調査ではないみたい。「新型コロナウイルス感染症関連情報: 新型コロナが雇用・就業・失業に与える影響」ということで公表されているデータです。こちら。
独立行政法人労働政策研究・研修機構
「新型コロナウイルス感染症関連情報: 新型コロナが雇用・就業・失業に与える影響 国内統計:休業者数」
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/covid-19/c23.html
ブルーが就業者で左の目盛、オレンジが休業者で右の目盛。
ブルーの就業者数は5800万人分ぶった切ってひとつの絵におさめています。Y 軸の縮尺はふたつのグラフで同じです。下から上まで1000万人分です。
4月から6月にかけて休業者が減っています。この頃は就業者減っていませんから、たしかに休業はクビにつながらなかったとわかります。
3月から4月で100万人くらいクビになっています。横の線は200万人ごとに引いてありますからね。
就業者と従業者で、用語が異なるのがひっかかりますね。元データが就業者だから就業者にしましたけれど、白書の方はなにかデータをいぢってあるのでしょうか。
白書のグラフ、 インチキくさい。ブルーの線は雇用者から休業者を引いて描いたんではないかと疑います。
作り直したグラフでは就業者が減ってあまりもどっていない印象ですけれど、白書のグラフでは休業者が復職して従業者ももどったみたいな印象です。
余計な加工は意味なく、インチキくさいという印象だけを与えます。やめてもらいたいものです。
休業で乗り切ろうという企業と、クビにしちまえという企業。勤める企業で扱いの差が鮮明になったということですかね。従業員の扱いの悪い会社には早めにおさらばして次の会社を探した方がよろしいかと思います。ピンチの時に切り捨てられます。
このあとも第3節つづいてゆきますけれど、このブログ記事では扱いません。こまごましたことで興味が湧かないと言ってはなんですけれど。時間は足りないものですからね、有意義に使いたいものです。
よろしかったら、次回も中小企業白書を一緒に読みましょう。